趣旨

現在、国立大学を中心として大学の経営環境は大幅に変革しつつある。独立行政法人化の実施、非公務員化議論など大学の事業活動の枠組みが大きく変わろうとしている中、教育と研究という国家の重要な基盤形成の要望に応えつつ、効率的経営をどのように行っていけばよいのかという新たな大学のビジネスモデルが提示されていないのが現状である。長年、大学の研究者であった教授が突然、経営者に転身することは並大抵の苦労ではない。誰が経営するべきなのかも問題である。現在の状況はこうした長期的ビジョン、短期的な対応が欠落したまま、大きな流れに身を任せてしまっている。
国家ならびに産業界にとって極めて重要な大学の機能を十分に認識し、新たな大学のビジネスモデルを日本に合った形で構築することは極めて緊喫の課題である。産業界は国際競争の波にもまれ、日常的に環境変化に対応し経営を行ってきた訳であるが、残念ながら大学はそうした対応に遅れをとっていると言わざるを得ない。
大学は自己改革の経営努力が当然必要であるが、競争力ある経営的に健全な大学を早急に作り上げるためには、経験豊富な経営ノウハウの蓄積をもつ産業界が大学を自ら育てていくという観点から適切な経営上、制度上の助言を行っていくことが必要である。
本研究会では、こうした認識に立って学界、産業界が率直に現在の大学、産業界が抱える経営上の問題点を提示し、新たな産学関係の枠組みの構築と次世代の大学のビジネスモデルを検討することを目的とする。

 

研究会委員名簿

(平成16年7月現在)

氏名 所属・役職
【座長】 吉川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所 理事長
【大学側】 相澤 益男 東京工業大学 学長
清成 忠男 法政大学 総長
佐々木 毅  東京大学 総長
鈴木 章夫 東京医科歯科大学 学長
 宮田 清蔵 東京農工大学 学長
 【企業側】 熊野 英昭 東京中小企業投資育成株式会社 代表取締役社長
佐藤 文夫 株式会社東芝 相談役
瀬谷 博道 旭硝子株式会社 代表取締役会長
高島 章 富士通株式会社 取締役専務
柘植 綾夫 三菱重工業株式会社 代表取締役 常務取締役
御手洗 冨士夫 株式会社キヤノン 代表取締役社長
【オブザーバー】 有信 睦弘 株式会社東芝 執行役常務
木谷 雅人 文部科学省 大臣官房審議官
河野 誠 富士通株式会社 政策推進本部 情報企画部長
合田 隆史 部科学省 高等教育局 企画課長
永野 博 文部科学省 国際統括官
細野 哲弘 経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部長
【事務局】 武田 修三郎 東海大学 教授
西尾 治一 株式会社ドゥリサーチ研究所 代表取締役社長
西本 淳哉 経済産業省 製造産業局 航空機武器宇宙産業課長

 

開催履歴


第1回:平成16 年2 月4 日 
ホテルオークラ「チェルシー」


○開会の挨拶・趣旨説明
○委員紹介
○大学側からの問題提起とビジョン(各大学メンバー)
○富士通が考える産学関係
○企業側からの意見と議論
○今後の進め方

 

第2回:平成16 年2 月23 日 ホテルオークラ「メイフェアー」


○前回のまとめ及び今回の議論内容について
○企業側からの御意見
○大学側からの質問・産学双方からの議論
○課題整理と今後の報告についての議論

 

第3回:平成16 年3 月24 日 ホテルオークラ「松風」


○前回の議論のまとめ
○日本の大学における経営のあり方についての具体的な提言に関する議論
○提言の方法についての議論

 

報告書

特別研究会報告書(2005年1月:研究会報告No.12)
「知の時代の大学と経営」(PDF形式:42.1KB)