趣旨

近年、産学官連携は、バブル崩壊後、国際的な産業競争力を失った日本の活力を呼び起こすための方策の一つとして、その重要性を増してきている。ベンチャービジネスの創造・育成の必要性やナノテクノロジーなど異分野間の交流が不可欠な科学技術の登場により、クラスターレベル(関連産業あるいは関連知識の集積域)におけるイノベーションには、産官学連携が不可欠だからである。

現在、日本において議論されている産学官連携は、大学から産業への技術移転に関するものがほとんどであり、連携を行う上で基盤となる地域社会のあり方に関する議論は少ない。

一方、MITやHarvard Univ. があるマサチューセッツ州(ボストン)あるいはシリコンバレーでは、多くのベンチャーキャピタリストやコンサルタント、弁護士、弁理士など起業に関わる人々が多く居住しており、大学から生まれる起業家の卵を地域社会が育てている。大学は、優秀な学生を他地域から移入させることで斬新で多様な知識の集積を形成し、また多くの起業家やベンチャーキャピタリストなどを育成することで地域経済へ貢献し、多くの利益を地域社会にもたらしている。すなわち大学とその周辺地域に存在する産業との相乗効果・コラボレーション効果でより発展した地域社会構築に貢献しているのである。

企業の立地動向も社会の変化によって変化しつつある。従来であれば、資源が近くにあり、交通の便が良く、低コストの人材が確保できるような場所に立地していたが、知識集約型の経済社会への移行に伴い、有能な人材が確保できる場所に立地する新たな傾向が出現してきている。

本研究会では、知識社会への移行ならびに地域経済社会の発展において、企業と大学および行政の在り方とその在り方がどのような地域経済社会への貢献に結びつくのかについて検討する。また大学が持つ役割について、単に技術移転やビジネス創造のみならず、地域経済社会の発展への積極的役割についても検討する。

 

研究会委員名簿

(平成14年11月現在)

座長 清成 忠男 法政大学総長
新井 辰夫 外務省 文化交流部人物交流課 課長
有信 睦弘 株式会社東芝 技術企画室 室長
伊佐山建志 日産自動車株式会社副会長
猪口 孝 東京大学 教授
桂川 篤 中部電力株式会社 技術開発本部研究企画部 支配人・部長
笠原 晃明 東京ガス株式会社 エグゼクティブ・スペシャリスト(取締役待遇)
瓦谷 立身 石川島播磨重工業株式会社 技術開発本部管理部部長
佐久間 啓 日本電気株式会社 政策調査部 技術広報戦略担当部長
滝口 孝一 富士ゼロックス株式会社 中央研究所 所長(執行役員)
中川 健朗 文部科学省 科学技術・学術政策局 地域科学技術推進室 室長
武田修三郎 東海大学 教授
野路 伸治 株式会社荏原製作所 精密・電子事業本部 技術統括第二開発センター センター長
橋本 正洋 経済産業省 大学連携推進課 課長
平田 光子 東海大学 助教授
松廣 啓治 日本ガイシ株式会社 R&Dセンター企画室 室長
望月 晃 三菱マテリアル株式会社 開発技術企画室 室長 執行役員
オブザーバー 井村 裕夫 内閣府 総合科学技術会議 議員

 

開催履歴

 

第1回 平成14年10月17日(18:00~20:00 霞山会館「霞山の間」)


  • 研究会趣旨説明
  • 参加委員紹介
  • 研究会の方向性に関する議論
  • その他、今後の予定

 

第2回 平成14年11月5日(18:00~20:00 東海大学校友会館「三保の間」)


  • 話題提供:
    吉川 智教 先生(横浜市立大学商学部経営学科 教授)
    「新産業創出のメカニズムを探る
    -イノベーションの連続性と産業クラスターの持続性」
  • 意見交換(フリーディスカッション)
  • その他、今後の予定

 

第3回 平成14年11月20日(18:00~20:00 霞山会館「霞山の間」)


  • 話題提供:
    小門 裕幸 先生(法政大学エクステンション・カレッジ長)
    「大企業における新規事業開発
    -その問題とクラスターとの関連性」
  • 意見交換(フリーディスカッション)
  • その他、今後の予定

 

第4回 平成15年3月18日(18:30~20:30 霞山会館2階会議室)


  • 提言に向けての基本方針に関する議論
  • 意見交換(フリーディスカッション)
  • その他、今後の予定

 

第5回 平成16年4月22日 (霞山会館「霞山の間」)


  • 提言に関する議論
  • その他、今後の予定